ミルトンモデル【No.2:前提】
ガイダンスに続き、前回はミルトンモデルの逆メタモデル(省略・歪曲・一般化)について述べました。
今回は、ミルトンモデルの前提について見ていこうと思います。
前提とは、あらかじめ物事が決定しているかのように伝える方法です
※ミルトンモデルに関する記事はコチラから!
1.前提とは
前提とは、あらかじめ決定しているかのように前提条件として組み込んでいる表現です。
「映画館か遊園地か行くならどっち?」
と聞かれたとき、みなさんはどう答えるでしょうか?
映画に行きたいという方がいれば、遊園地のほうがいいと思う方もいるかと思います。
しかし、「行かない」という選択肢はあったでしょうか?
このように、こちらから映画か遊園地か選択肢を提示して、相手にどちらか選んでもらっているかのようですが、実は「遊びに行きたい」という自分の望む方へ導く心理誘導となります。
2.前提の種類
前提にも種類があります。7つの前提のタイプを紹介します。
①時の従属節
「~しながら」「~の前に」「~の後に」「~している間」「~のとき」などの表現。
(Ex.)
「契約の前に、何かご質問はございますか?」
【解説】
「契約してください」というと、相手には「する・しない」という選択肢が残ります。しかし、例のように言うと相手は質問に意識が向き、契約することが前提となっています。
②序数
「はじめに」「2番目に」「もう一つ」「次に」などの表現。
(Ex.)
「最初は難しく感じて、できないかもしれません。」
【解説】
このように言うと、相手は難しい・できるかどうかを考えますが、次があるということが前提となっています。
③「または」「あるいは」
「または」「あるいは」「それとも」などの表現。
(Ex.)
「現金、それとも、カードでお支払いですか?」
【解説】
どちらかであるという前提になります。現金かカードのどちらかで支払うかという選択肢を相手に与えていますが、何かを買うという前提となっています。
④意識の叙述語
「~に気づく」「~を理解している」「~を知っている」などの表現。
(Ex.)
「これはお買い得だと知っていますか?」
【解説】
これは相手が知っているか、知っていないかに意識が向きますが、どちらにしてもお買い得だということが前提となります。
⑤副詞と形容詞
副詞と形容詞を使って修飾する言葉(メインの文章)を前提にする表現です。
(Ex.)
「顧客をたくさん集めるための方法が何かない?」
【解説】
たくさんという言葉を使い、顧客を集めることを前提としています。
⑥時制の変化の動詞と副詞
「始める」「終わる」「続ける」「まだ」などの表現。
(Ex.)
「興味を持ち続けてください」
【解説】
「興味を持ってください」だと、相手は持つか持たないかという選択肢になりますが、「持ち続けてください」と言うと、持ち続けるかどうかを考えますが、いずれにせよ、興味があることが前提となります。
⑦注釈の形容詞と副詞
「運よく」「必然的に」「喜んで」などに続く文章が前提になります。
(Ex.)
「運よく、手配が済んでいます」
【解説】
手配が済んでいることが前提となっています。
3.まとめ
前提はとても強烈な言葉遣いで、日常生活はもちろん、セールスや営業などにも使えるスキルです。
しかし、「なんで、あなたはそんなに冷たいの?」のように、前提を使って相手のことを言ってしまうと、相手は冷たい人だという前提で話が進んでしまうので気を付けましょう。
4.参考
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