こころ・らいぶらりー

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ミルトンモデル【No.1:逆メタモデル】省略・歪曲・一般化

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前回は、相手の無意識に働きかけるミルトンモデルについて紹介しました。

ミルトンモデルを体系化した催眠療法士、覚えているでしょうか?

前回のパートは、ガイダンスというミルトンモデルの入門編みたいな立ち位置で解説しましたが、今回から本格的にミルトンモデルについて深めていきたいと思います!

 

下の記事からミルトンモデルのガイダンスを見ることができるので、まだご覧になっていない方はぜひコチラもご覧ください

 

↓前回のミルトンモデルのガイダンスはこちらから!↓

cocoro-library.hatenablog.com

 

 

1.逆メタモデル

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ミルトンモデルの項目1つ目はメタモデルです。逆メタモデルとは、省略・歪曲・一般化する表現です。

ミルトンモデルでは抽象的な表現を使うことで相手にメッセージを受け入れてもらいやすくなると前回のガイダンスで述べました。

それが結果的に相手とのラポール構築につながります。

 

2.省略

 

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省略は情報を省略(削除)した表現です。例えば、「昨日大変だったね」と言われたとします。

このとき、何が大変だったのか、どのくらい大変だったのか、昨日のどのタイミングでの話だったのかなど、具体的なことが述べられていません。

しかし、このように情報を省略することで相手の中で自由に解釈されます

 

2-1.省略の種類

①単純削除

いつ・どこで・誰がなど、具体的な5W1Hを単純に省略した表現

(Ex.)

「よく頑張ったね」

「楽しい仕事です」

 

②比較削除

比較対象を省略した表現

(Ex.)

「君って、買い物上手だよね」

「この仕事は簡単です」

 

③不特定指示詞

具体的な内容(何を指しているのか)が省略されている表現

(Ex.)

「いい感じですね」

「こんな感じがよさそうです」

 

④不特定動詞

具体的な内容(行動)が省略されている表現

(Ex.)

「うまくいくと思うよ」

「次回も頑張ります」

 

⑤名詞化

具体的な内容(情報や物事など)を名詞化した表現

(Ex.)

「信頼が大切だよ」

「こだわりの商品です」

 

3.歪曲

 

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歪曲は必ずしも事実ではなくても、事実であるかのように表現したものです。例えば、「天気が悪いと身体の調子が悪くなる」というように、全く別の事柄である、天気と体調が結ばれています。

 

3-1.歪曲の種類

①因果関係

何か(A)が何か(B)の原因を引き起こさせているという表現です。この場合、表現の中で、A→Bという関係になります。

全く因果関係がなくても、実際に起きている(A)として表現することで、結果(B)に導いていきます。

(Ex.)

「天気が悪いと、身体の調子が悪くなる」

「呼吸を意識すると、リラックスできる」

 

②複合等価

何か(A)が何か(B)を意味するという表現。この場合、表現の中でA=Bが成立します。

実際に起きていること出来事(A)を表現することで、結果(B)に意味を含ませることができます。

(Ex.)

「勉強しているということは向上心があるということですね」

「毎日、同じことができるなんて真面目だね」

 

③読心術

相手の感情や思考を表す表現で、マインド・リーディングと呼ばれています。

人の心は本来は分からない、目に見えないものですが、心の中で思っていることを言われると、自分の内面に意識が向くとともに、分かってくれているという感覚が生じます。

(Ex.)

「いま、すごいリラックスしていますよね」

「これに興味を持っていますよね」

 

④判断

誰が判断、評価したのか基準を示さずに表現する表現。このように誰がを省略することであたかも事実のように受け止めてもらえます。

(Ex.)

「やればできるよ」

「運動することは身体にいいことだよ」

 

4.一般化

 

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一般化は本来例外なものでも、例外を認めずに一般化して表現したもの。例えば、「君っていつもニコニコしてるよね」など、「いつも」などを使うのが特徴で、上手に使うと、相手を力づけたりできます

 

4-1.一般化の種類

①全称限定詞

「いつも」「絶対」「誰でも」など、あたかも例外が内容化のようにいう表現。

(Ex.)

「絶対、お買い得ですよ」

「みんなできる」 

 

②可能性の叙法助動詞

 「できる」など、行動や物事の可能性を与える表現

(Ex.)

「いつでも利用できます」

「追加で注文できます」

 

③必然性の叙法助動詞

「~しなければならない」「するべきだ」「~しなくてもいい」など、あたかもルールがあるかのように伝える表現

(Ex.)

「無理に頑張らなくても構いません」

「カゼを引いているなら帰って休むべきだ」

 

④前提

何かを前提としてゴールへ導く表現方法

→細かく分かれているので、次の記事で紹介します。

 

5.まとめ

 

メタモデルを上手に使うことで、抽象的な表現でも相手に受け入れてもらいやすくなりラポールが築きやすくなります。

あいまいな言葉は非常にパワフルで、使い方によっては相手にたくさんの選択肢や可能性を持たせることができるので、ぜひ取り入れてみてください!

 

6.参考